マンション仕入控除でアズ企画設計に更正処分
マンション販売事業者等が取得した居住用建物に係る消費税仕入税額控除の取扱いを巡っては、ムゲンエステートとエーディーワークスが現在東京地裁で係争中となっていますが、T&A master No.785号に、東証ジャスダックに上場しているアズ企画設計も取得した居住用建物に係る消費税の仕入税額控除を否認する更正処分を受けた旨の記事が掲載されていました。
同社のHPを確認したところ、2019年4月16日に「関東信越国税局からの更正通知書受領に関するお知らせ」という開示が行われていました(なお、4月18日に「更正」→「更正」と修正する開示が行われているため、以下では原文引用も含め「更正」に修正したものとしています)。
更正処分等の経緯・内容としては以下の様に開示されています。
当社では、居住用収益不動産の仕入れにおける「居住用住宅の建物部分」については、消費税算定
方法である「個別対応方式(消費税法第 30 条第2項)」における「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」として同仕入れに係る消費税全額を課税売上に係る消費税額から控除する税務処理を行ってまいりました。この税務処理方法については、過去における税務調査においても何ら指摘を受けることも、また、議論の対象となることもなかったことから、当社といたしましては、適法な税務処理方法であるという認識でおりました。
しかしながら、今回の更正処分等において、当局は、消費税非課税の居住用住宅の賃貸による収入が発生する収益不動産の仕入れは、居住用収益不動産の販売(課税資産の譲渡等)のみならず、「住宅の賃貸(課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等)」のためにも必要なものであり、その仕入れに係る消費税額については、その一部しか課税売上に係る消費税額から控除することができないという見解の下、更正処分等が行われました。
これにより、追加納付が必要とされる税額は加算税を含め1億 36 百万円となります。なお、この税額は、平成 31 年2月に予納済みです。
T&A masterの記事では、上記の3社以外の複数の事業者が同様の更正処分を受けたことが確認されたと述べられており、「係争中の事案と同様の理由による否認事案の発生は、今後の取扱いの統一とそれに伴う否認事案の増加を示唆しているとの見方もある」とされています。
以前同誌で朝長英樹税理士が解説していた内容からすると、上記のような更正処分は妥当ではないように思われますが、良くも悪くも課税判断の公平性を保つためには、いずれかの案件で最高裁で国が負けないことには同様の判断が採用され続けるということなのでしょう。